ドラマティック・ポエム

あなたの心の片隅に置く一冊にならんことを祈って。

橋の下の物語 II

ある日の夜

したたか酒に酔った女は

アフリカンダンス踊りながら

その河原にやってきた

大蛇のような眼で

狂ったように騒いでいる


女は酔い泥れた男の小屋に飛び込んだ

自分の名を呼ぶ男のヒゲ面を

愛おしそうに舐め回して

女は小屋中に火を放った


炎の匂いに怯えたネコたちが

一匹また一匹と小屋を去っていく

いつも女のヒザで甘えていた黒ネコが

別れ際に後ろを振り向いた


ベニヤ板とブルーシートで囲まれた

二人の城が

真っ赤な炎に包まれた