ドラマティック・ポエム

あなたの心の片隅に置く一冊にならんことを祈って。

デカショーおじさん I

シベリアから引き揚げて来た伯父さんを

かーちゃんと二人で上野駅に出迎えた

真黒いサングラスの伯父さんは

氷の様に冷たい顔をしていた

それがシベリア帰りのデカショー伯父さんだった


小学校の入学式の日

僕は行くのが嫌だと言ってゴネた

伯父さんがしょーがねーなあと言って

学校まで送ってくれた

僕は伯父さんに手を引かれて

のー天気に上履袋を振り廻しながら

上機嫌で初登校を果たした


それでも僕の伯父さんはシベリア帰り

何時も飲んだくれては暴れる

ぶっ殺すぞって  ナタを振り回す

おんな子供が泣き叫ぶ

僕の目の前でナタがキラリと光って弧を描く

伯父さんは暴れても

結局誰にもケガはさせなかった

そんな事の後は

何時もブツブツ言いながら酔い潰れて寝てしまった

それがシベリア帰りのデカショー伯父さんだ