ドラマティック・ポエム

あなたの心の片隅に置く一冊にならんことを祈って。

スナック

夕もやの流れる頃    17号線ぞいの寂れた路地を入ると  古びたネオンが灯るスナックがある    その店の扉を開くとカウンターの中では   ロングドレスの似合うクラブあがりのママがニンマリと笑う    実は彼女は僕の愛人なんです    もう一人の若いヘルプの秋ちゃんは僕のことを秘かに想ってくれています

カウンターの片すみに座って    そんなふうに空想しながらビールをチビチビやっていると    僕の幸福な時間が過ぎてゆきます


客同士が喧嘩する程美人の秋ちゃんは    店が暇な時    僕にご馳走すると言って    近所のスシ屋に無理やり引っぱって行きました    ウルフカットの似合う秋ちゃんは    僕の腕にブラさがるように歩きました(これは本当の話だよ    なんてネー)


ある日秋ちゃんの姿が見えなくなりました    ママの話では    秋ちゃんは僕にフラれたと言って九州に帰って了ったそうです    あーあ    バラの花の一輪でもあげておけばよかった


それにしても店の看板まで    まだ少し時間がある

ママ‼︎    ビールもう一本‼︎    なんてネー