ドラマティック・ポエム

あなたの心の片隅に置く一冊にならんことを祈って。

フラメンコ

若い時は何時でもフラメンコ踊っていた

行く先々で女達が歓迎してくれた

ギターも何もなくても

俺が踊れば  その体から音が流れ出た

人が居ようと居まいと  何時でも踊っていた

身体中の汗と情熱で


もしお前が先に死んだら

最後の住所を誰かに伝えてくれ

きっと仲間を連れて

フラメンコ踊りに行くよ

そして最後くらい綺麗な顔で死んでゆくんだ


誰にも負けないように

化粧したり着飾ったり  がんばっているうちに

本当の姿を見失って了ったけど

カモメよ  俺が死んだら皆に伝えてくれ

最後までその汗と情熱を忘れなかったことを


若い時のようには踊れなくなったけど

海の見える丘の上で死んでいった奴らのことを

思いながら静かなフラメンコ

踊っているよ

老いぼれた貴婦人のように