ドラマティック・ポエム

あなたの心の片隅に置く一冊にならんことを祈って。

ヘビ

隣の草むらにはヘビが棲んでいる

そのヘビは時折見かける人間の背中に

僧悪の眼をむける  カマ首をもたげ

真っ赤な眼を見開いて

むなしい叫びをあげながら

月に向かって激しいダンスのステップを踏む

街なかに棲むヘビは

草原で野ネズミを追った記憶が

満月の夜に疼き出す


隣の草むらに棲むヘビは

時折塀を乗り越えて出かけて行く

いったい何処へ行くのだろうか

ある日のこと  数軒先のアパートの庭に

そのヘビがころげ落ちるのを見た

真夏の暑いアスファルトの上で

悶えながらのたうちまわっていた

そしてその姿はやがて  自分の最後の姿と重なる