俺とマサやん
小学生だった俺とマサやんは
駅の構内から盗み出した
レールの切れっぱしを
自転車のけつに積んで
よいしょ ワッショ と二人で売りに行ったんだ
そんな日は
三本五十円の東映映画を観たあと
新ちゃんの店で
一杯三十円のラーメンを食べるのが
俺とマサやんの無情の楽しみだった
小学生の俺たちには
日活の祐ちゃんより
綿の助のチャンバラがよかったんだな
PS.大人になったマサやんは
荒川の橋の下に住んでいる
朝起きると洗面所もないから
近くの公園で顔を洗う
夏は百万ヶ所も蚊に刺されるから
マサやんのヒフは何も感じなくなっている
時々でっかいネズミが顔を出す
そのネズミをねらって青大将がやって来る
俺はマサやんみたいなワイルドな生き方出来ないから
生活保護もらってアパート暮らしでもするか