ドラマティック・ポエム

あなたの心の片隅に置く一冊にならんことを祈って。

紙芝居

紙芝居のおじさんが

片足を曳ずりながら

ドンガラガッカ ドンガラガッカと

町内を練り歩く


ゴム跳びなんかしていた子供達が

おじさんの後から ぞろぞろと

くっついて歩く

大きなタイコを腹に抱えて歩く

足の悪いおじさんの体が傾いているのを

しっかり見逃すこともなく

ドンガラガッカ ドンガラガッカと

くっついて歩く


やがて空き地に着いたおじさんが

水アメせんべいを配り終えると

紙芝居が始まる

汗をふきながら 大声でセリフを

喋っている おじさんの赤ら顔を

僕は一生懸命見つめている


おじさんが僕に向かって怒鳴っている

お前なんかもう来るんじゃねえ

とか何とか言ってるみたいで

僕はうしろを振り向き 振り向き

ドンガラガッカ ドンガラガッカ

うしろ 振り向き 振り向き

少年は家路に着いたのでありました

お・し・ま・い  ドンガラガッカ ドンガラガッカ…