ドラマティック・ポエム

あなたの心の片隅に置く一冊にならんことを祈って。

ゴーストの棲む街

街に暗闇が訪れる頃

道端にうずくまる二つの影の

顔だけが仄かに青白く光っている

青白く光る顔と顔が向き合って

時折「ケケケッ」と笑う

通り過ぎる僕のことなど

全く気にもせず


路地のあっちからも こっちからも

青白く光る顔の影法師が

僕の方にやって来る

あの二つの影も 僕の後を追って来た


僕は早足で家路を急ぐ

歩き廻るゴーストたちは

前がよく見えなくて

時折 僕にぶつかると

「すいません」と言う 心やさしいゴースト達は

僕という現実には

全く興味など持っていない

ふたたび青白く光る顔で

その場から立ち去ってゆく

彼等の現実の中では

この僕がゴーストなんです。