ドラマティック・ポエム

あなたの心の片隅に置く一冊にならんことを祈って。

エデンの人々 II

毎日酒を飲みタバコを吸い何の努力もしないで

ただひたすら有名になりたいという夢ばかりみているうちに

とうに半世紀も過ぎてしまいましたが


たぶん長生きし過ぎたのでしょう  気がついたら

自分らしくもない他の時代に迷い込んでいたのです


寒い冬には居心地の良い仲間達と焚き火を囲んで

他愛ないお喋りしながら飲み明かすのですが

いつも同じような  くだらない話ばかりしている自分に気がつくと

何の発展もないおやじ達とさよならするのですが

そんな翌朝には一人二人と

見憶えのある顔がいなくなってゆくのです


どんな星の下に生まれたかはともかくとして

憎しみも悲しみもダンボールの隙間から降る雨に

きれいさっぱり流してしまう  おやじ達の生き方は

俺の心にはまぶしいのです

生き方を知らない筈のおやじ達から

本当の生き方を教えられたのです

どんなドン底に落ちても平気だったおやじ達も

最後はコップ一杯の水さえなくなって

誰にも知られることもなく

この世から消え去って行くのです

公園の片すみに咲く、朝鮮アサガオみたいに