エデンの人々 II
毎日酒を飲みタバコを吸い何の努力もしないで
ただひたすら有名になりたいという夢ばかりみているうちに
とうに半世紀も過ぎてしまいましたが
たぶん長生きし過ぎたのでしょう 気がついたら
自分らしくもない他の時代に迷い込んでいたのです
寒い冬には居心地の良い仲間達と焚き火を囲んで
他愛ないお喋りしながら飲み明かすのですが
いつも同じような くだらない話ばかりしている自分に気がつくと
何の発展もないおやじ達とさよならするのですが
そんな翌朝には一人二人と
見憶えのある顔がいなくなってゆくのです
どんな星の下に生まれたかはともかくとして
憎しみも悲しみもダンボールの隙間から降る雨に
きれいさっぱり流してしまう おやじ達の生き方は
俺の心にはまぶしいのです
生き方を知らない筈のおやじ達から
本当の生き方を教えられたのです
どんなドン底に落ちても平気だったおやじ達も
最後はコップ一杯の水さえなくなって
誰にも知られることもなく
この世から消え去って行くのです
公園の片すみに咲く、朝鮮アサガオみたいに