ドラマティック・ポエム

あなたの心の片隅に置く一冊にならんことを祈って。

エデンの人々 I

若い頃は

他人の役に立つ仕事がしたいと思ったこともあるけど

今ではそんな夢を見るより目の前にある酒を飲むだけの毎日です

本当は何も出来ないのに

何でもこなせるように振舞ったりしていましたが

実のところ

俺の仕事はホロ酔い加減が調度いいので

きびしく仕込まれて来た親方達には

とても俺のスタイルなんか認めてくれる訳もなく

俺は俺で

公園の気の合う仲間達のところで

愚痴をこぼしながら生きているのです

生来働くことがきらいな性分で

このおやじ性格はいいんだけど

仕事だけはしたがらないんだよなァ

なんて若い奴等が俺のかげ口をたたいておりますが

雨が降るとラテンを踊り出すお祭り好きのバールのおじさんとか

毎日洗タク物を木の枝にひっかけるキレイ好きなおふくろさんとか

世間から遠く離れたおやじ達は

どんどん仙人みたいになってゆき

雨の日は理由もなくはしゃぎ廻ったり

天気のいい日はお気に入りの茶色のサンダルを一日中ながめながら

公園の木陰で寝そべって暮らしているおやじ達は

小綺麗なアパートやマンションで暮らしている人々を

羨ましいと思ったことはないのです

こんな親を持った子供達には気の毒だけど

それこそが

おやじ達の生き方なんです